Claude Codeで「AI×AI対話型」SNS運用&ブログ自動生成システムを構築した全記録
目次
はじめに:なぜAIに「会話させる」のか
正直なところ、AIに1回で完璧な記事を書かせるのは無理だと思っている。
GPTでもClaudeでも、1ショットで生成した長文は「情報はあるけど、読む気にならない」ものが大半だ。理由はシンプルで、AIには「何を捨てるか」の判断ができない。全部盛りにして、どこにも刺さらない文章ができあがる。
じゃあどうするか。人間のライターと編集者の関係を、AIで再現すればいい。
片方のAIがリサーチして書く。もう片方が「ここ浅い」「この表現AI臭い」「ファクトが曖昧」と批評する。書き手が修正する。これを繰り返す。
Claude Codeの「Channels」機能を使えば、Discord上でこの対話を完全自動化できる。実際にやってみた結果、1ショット生成と比較して記事品質が体感で2倍以上変わった。
この記事では、その仕組みの全体像と、SNS投稿への展開まで含めて解説する。
Claude Code Channelsとは何か
2026年3月にリリースされた「Claude Code Channels」は、Telegram・Discord・iMessageからClaude Codeに指示を送れる機能だ。
ポイントは、バックグラウンドで常駐するClaude Codeに、メッセージングアプリ経由でタスクを投げられること。ターミナルに張り付く必要がない。
自分のMacでClaude Codeをバックグラウンド起動しておけば、Discord経由でコードの修正もデプロイも記事生成もできる。しかもMCPサーバーにもフルアクセスだから、Supabase・Brave Search・GitHub Actions・Slack、全部繋がる。
ここが重要で、ローカルで動いているから、LLMのAPI料金がかからない。Claude Codeのサブスク内で完結する。
アーキテクチャ:AI-A × AI-B の対話構造
システムの核は「2つのAIの役割分担」だ。
AI-A(指揮官ロール)
- Discordから定期的にタスクを投げる
- 「トレンドを調べろ」「記事を書け」「批評しろ」「公開しろ」とフェーズを管理
- スケジュールベースで自動起動(GitHub Actions Cron)
AI-B(実行者ロール=Claude Code)
- ローカルマシンで常駐
- Brave Searchで一次情報を取得
- Supabaseから自社RAG(既存記事・サービス情報・創業者の思考ログ)を検索
- 記事を執筆、批評を受けて推敲
- 公開時にPost-Processing APIを呼び出し
この2者がDiscord上で会話しながら、記事を段階的にブラッシュアップしていく。
なぜ「2つ」に分けるのか
1ショット生成の問題は「自分で自分を評価できない」こと。GPT-5.2に記事を書かせて同じGPT-5.2にレビューさせても、自分の癖に気づけない。
AI-AとAI-Bで役割を分けると:
- AI-Aが「読者目線」で批評する(構造的に書き手とは別の視点)
- AI-Bは批評を受けて「なるほど、ここ弱いな」と実際に修正する
- このループが2-3回転するだけで、単発生成とは次元の違う記事になる
記事生成の4フェーズ
Phase 1: トレンド調査(blog_research)
AI-Aが「記事ネタを探せ」とタスクを投げる。AI-Bは3つのソースからトピック候補を収集する。
- RSSフィード監視— OpenAI、Google、Meta、HuggingFace、LangChain、Microsoftの6社ブログ
- SNSバズ検出— 直近48時間でエンゲージメントの高い投稿
- トレンド記憶— 過去のSNS投稿から蓄積したトレンドデータ
各トピックに「バズスコア」を付けて、上位候補を一覧表示。AI-Bが各候補をBrave Searchで調査し、「まだ誰も深く書いていない切り口」を持つトピックを1つ選定する。
ここのポイントは**「書けるネタ」ではなく「差別化できるネタ」を選ぶ**こと。Brave Searchで競合記事を確認して、同じ角度の記事がなければGO。
Phase 2: 執筆(blog_draft)
AI-Bがデータ収集から記事執筆を行う。
データ収集では:
- 自社RAG(ベクトル検索):既存記事との重複回避、関連サービスの文脈取得
- 創業者の思考ログ(3072次元ベクトル):個人の体験や哲学を注入
- パーソナルストーリー:「起承転結」の物語構造
これらをコンテキストとして記事を執筆。ターゲットは12,000〜30,000文字。
重要なのは、**AIが書いている時点ではまだ「下書き」**だということ。完璧を目指さない。次のフェーズで批評を受けて改善する前提で書く。
Phase 3: 批評(blog_review)
AI-Aが「この記事を批評しろ」とタスクを投げる。AI-Bは以下の5軸で記事を評価する。
| チェック項目 | 内容 | 合否基準 |
|---|---|---|
| AI臭チェック | 「この技術がもたらす」「パラダイムシフト」等のAI定型句検出 | 0件で合格 |
| SEO構造 | H2/H3の数、FAQ有無、メタデータ | H2が3-8個、FAQ有り |
| 深さ | 各セクションの文字数 | 全セクション300文字以上 |
| 重複チェック | 既存記事とのbigram類似度 | 35%未満 |
| 内部リンク | 自社サービスへの言及 | 1つ以上 |
スコアが100点満点で算出され、批評レポートがDiscordに投稿される。
AI-Bはこの批評を受けて推敲する。「セクション3が浅い」と言われたら、Brave Searchで追加調査して具体例を足す。「AI臭い表現がある」と言われたら、口語調に書き換える。
Phase 4: 公開(blog_publish)
推敲が完了したら、既存のPost-Processingパイプラインに投入する。
- postsテーブルにドラフト保存
- Post-Processing API呼び出し(既に本番デプロイ済み)
- Fragment ID自動生成(H2/H3単位でページ内アンカー)
- 構造化データ生成(JSON-LD、Schema.org準拠)
- ベクトルリンク生成(関連記事の自動紐付け)
- AI検索最適化(ChatGPT・Perplexity・Claude・Gemini向けメタデータ)
- FAQ Entity生成
- 公開ステータスに更新
ここが既存インフラの再利用で一番コスパが良い部分。記事本文さえ良ければ、SEOや構造化データは全自動で最適化される。
SNS投稿への自動展開
ブログ記事が公開されたら、そのままSNS投稿に展開する。
プラットフォーム別の最適化
X(Twitter)
- 記事の核心を1ツイートに凝縮
- 50+の署名表現からランダムサンプリング(毎回違う口調)
- 25+のバイラルフックパターンから最適なものを確率モデルで選択
- 問いかけで締める
- 「です・ます」調のプロフェッショナルトーン
- 海外事例から日本市場示唆の構造
- 1,000-1,500文字で深い分析
- ハッシュタグ2-3個
Threads
- 余韻を残すカジュアルトーン
- 500文字以内、会話のきっかけを作る
- 「な気がしている」「答えは出てない」系の締め方
各プラットフォームの投稿も、品質ゲート(重複チェック、タイミングチェック、スコア≥0.6)を通過した場合のみ自動投稿される。
コスト構造:なぜ「ほぼゼロ」なのか
| 項目 | コスト |
|---|---|
| 記事執筆(Claude Code) | ゼロ(ローカル実行、サブスク内) |
| 一次情報リサーチ(Brave Search) | 微小(1記事あたり3-5クエリ) |
| ベクトル埋め込み(OpenAI Embeddings) | 微小(Post-Processing時のみ) |
| Post-Processing API(Vercel) | Hobbyプランなら無料枠内 |
| SNS投稿(X API) | Freeプラン内 |
従来のCloud Runパイプライン(外部LLM API利用)と比較すると、LLM API料金が完全にゼロになる。記事品質は上がってコストは下がる。
2日に1回の完全自動サイクル
このシステムは2日に1回のペースで完全自動実行される。
- Day 1 朝: トレンド調査 → トピック選定
- Day 1 昼: 記事執筆(20,000文字)
- Day 1 夕: 批評 → 推敲
- Day 2 朝: Post-Processing → 公開 → SNS展開
月15本の高品質記事が、人間の介入なしで自動生成される。
実装のポイント
1. 既存インフラの最大活用
新しく作ったのは「ループハンドラ4つ」だけ。Post-Processing、RAGシステム、構造化データ生成、ベクトル検索は全て既存のものを再利用した。新規ファイルゼロ、既存ファイルへの追加のみ。
2. 批評の品質が全てを決める
AI-to-AIの対話で最も重要なのは「批評の具体性」だ。「もっと良くして」ではなく「セクション3のデータが古い。2026年3月のデータに更新しろ」と具体的に指摘する。この具体性が、修正の精度を決める。
3. 人間性の注入方法
AIが書いた記事が「AI臭い」のは、構造が均一だから。対策として:
- 短い段落と長い段落を意図的に混ぜる
- 括弧内の独り言やツッコミを挟む(これは効く)
- 個人的な体験を必ず1つ入れる
- 「だと思う」「かもしれない」「正直なところ」など、断定を避ける表現を使う
よくある質問
Q: Claude Codeのサブスクだけで本当にAPI料金ゼロ?
A: はい。Claude Codeはローカルマシンで動くため、記事生成自体にAPI料金は発生しません。Post-Processing時のOpenAI Embeddings(ベクトル化)のみ微小なコストがかかりますが、1記事あたり数円レベルです。
Q: 品質は人間が書いた記事と比較してどう?
A: 1ショット生成と比較すると明確に上。ただし、専門家が丁寧に書いた記事には及ばない。「80点の記事を月15本」vs「95点の記事を月2本」のトレードオフ。多くのビジネスでは前者の方が合理的です。
Q: SNS投稿も完全自動?
A: 品質ゲート(重複チェック、エンゲージメント予測、タイミング最適化)を通過した場合のみ自動投稿されます。品質が基準を下回る場合はスキップされるので、低品質な投稿が出ることはありません。
Q: 他のAIツール(GPT、Gemini)でも同じことできる?
A: Claude Code Channelsのバックグラウンド常駐+Discord連携は現時点でClaude Code固有の機能です。GPTやGeminiでは同等のワークフローを構築するには追加の開発が必要になります。
Q: 導入にどのくらいかかる?
A: Claude Codeの環境構築が済んでいれば、ループハンドラの追加は数時間。Post-Processingパイプラインまで含めるなら1-2週間が目安です。
まとめ
AIに「1回で完璧に書け」と言うのはやめた。代わりに「2つのAIに会話させて、段階的にブラッシュアップさせる」アプローチに切り替えた。
結果として:
- 記事品質は1ショット生成の2倍以上
- LLM API料金はゼロ
- 月15本の高品質記事を完全自動生成
- SNS投稿(X・LinkedIn・Threads)も自動展開
Claude Code Channelsが出たことで、「AIエージェントが常駐して、人間の介入なしにコンテンツを生産し続ける」世界が現実になった。
正直、ここまでできるとは思ってなかった。
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著者について

原田賢治
代表取締役・AI技術責任者
Mike King理論に基づくレリバンスエンジニアリング専門家。生成AI検索最適化、ChatGPT・Perplexity対応のGEO実装、企業向けAI研修を手がける。 15年以上のAI・システム開発経験を持ち、全国で企業のDX・AI活用、退職代行サービスを支援。